一昔前は「変わった子」と言われていた児童生徒も、近年では「ひょっとしたら発達障がいかな?」と考えられるようになってきました。
発達障がいって言ってもよく分からない
どういう児童生徒のことを言ってるの?
本で書いてるのと違う!
例があると嬉しい!
こんな疑問が解決するお手伝いをするよ!
特別支援学校で働いている方の中では当たり前と思われていることでも、普通小中高で働いている方は「???」となっていることもあると思います。
※タップで項目に飛べます
具体例があると想像しやすいね!
似たような行動をとる児童生徒もいると思うから、支援の参考になればいいな。
ひょっとしたら自分のクラスにも在籍しているかも?
そんな児童生徒を思い浮かべながら読んでみてください。
専門性が上がって今後の指導・支援に役立つかも!
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自閉スペクトラム症とは?
そもそも、自閉スペクトラム症ってなんでしょう?
以前は、自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群と分けて言っていましたが、現在は総じてこのように言うことも多くなりました。
それぞれの障がいは細かく言えば異なりますが、今や大きくまとめて考えることも増えてきましたね。
分かりやすく画像にまとめているものがあったので、参考にさせていただきました。
※画像はサイモン・バロン=コーエン教授による自閉症スペクトラム障害図
自閉スペクトラム症には、こんな特徴があるよ。
・対人関係が苦手
・非言語的なコミュニケーションの困難
・特徴的な行動
・言語、知的な遅れ
・特定の物事に対しての強いこだわり
・感覚過敏または感覚鈍麻
障がいが重い児童生徒であれば、目つきや顔つきに特徴あり、見た目で判断することが可能(若干難しいですが)です。
しかし、障がいの程度が軽度・判定されないようなボーダーの児童生徒は、見た目では判断することができません。
話してみたり行動を観察することで、判断することになります。
見た目で判断できないから、行動観察が大切なんだね!
行動の具体的な例
先ほど紹介した自閉スペクトラム症の児童生徒の具体的な行動の例を紹介します。
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1つずつ見てみよう。
対人関係が苦手
相手の感情を理解しにくく、友情や親しい関係を築くことが難しい傾向にあります。
- 相手の目を見て話せない
- 感情表現が苦手
- 場面の空気を読むのが苦手
- 冗談を鵜呑みにしてしまう
自分の考えを伝えることが不得意で、うまく伝わらなかったり不満が募ってしまうと、怒りが爆発することもあります。
友達同士でのトラブルが起こりやすいんだね。
それに、感情の適切な表現が難しいことも挙げられます。
他人からの理解や共感を得ることが難しかったり、怒りを買うこともあります。
本人は悪気があってやってる訳じゃないんだけどね。
こうして、一人ぼっちになったり、場合によってはいじめの対象になってしまう可能性もあります。
非言語的なコミュニケーションの困難
身振り手振りなどのジェスチャーを理解しにくいことがあります。
- ジェスチャーを理解しづらい
- 視線や表情、声のトーンで判断が難しい
例えば、特定の物を指差ししたり、大きさを身振りで表現するといったことです。
具体的な物などが無いと、それが何を指しているか理解することが難しいです。
他にも、上記のように音がうるさいジェスチャーをしている場合、窓を閉めてあげると良いですよね。
しかし、自閉スペクトラム症の方は、「なんで困っているんだろう?」と疑問に思ってしまいます。
その物事にどんな意味があるか具体的に伝えてあげる必要があるんだね。
特徴的な行動
自閉スペクトラム症の方は、特徴的な行動をすることもあります。
- 好きなことに集中して周りが見えなくなる
- 自分ルールがある
- スケジュール管理、急な変更が苦手
- 相手の気持ちにそぐわない発言をする
- 手足をばたつかせたり、ぴょんぴょんと飛び跳ねたりする
- 独り言が多い
- 急に立ち上がる、ぐるぐる回る、反復行動をする
こだわりが強く、好きなことに熱中したり、自分ルールがあることが特徴的です。
物を並べたり、しまう順番に決まりがあったりするよ。
代表例としては、電車、虫、数字、記号などの特定のものに強い興味を示します。
自閉症で電車が好きな方は多い印象だな。
また、スケジュール管理の苦手で、急な予定変更があった場合にはパニックになることもあります。
避難訓練とか行事での急な時程変更は、個別に対応が必要だったりするね。
他には、突発的に立ち上がったり、何もないところをぐるぐる回る、行ったり来たりするなどの特徴的な行動も見られます。
独り言を言いながら自分の世界に入る子も多いね。
言語、知的な遅れ
自閉スペクトラム症は、知的な遅れがあることも特徴的です。
一般的にIQは100が基準値で、 90〜109が平均値と言われています。
自閉症スペクトラム症のうち、IQ70以上は「高機能自閉症・アスペルガー症候群」、IQ70以下のは「自閉症」に該当し、一般的なIQよりも低いです。
天才みたいに高IQって言われることもあるよね?
それは特定の好きなものに対しての知識が豊富って意味だと思うよ。
好きなものをとことん追求するという特性があるから、その分野に対して天才と言われることはあります。
しかし、さまざまな物事から判断したIQを見てみると、一般的な数値よりも低く判定されることが多いです。
特定の物事に対しての強いこだわり
自閉スペクトラム症は、物事に対するこだわりが強いことがあります。
それは、物だけではなく、ルーティンや場所なども該当します。
- 電車、虫、数字、記号、アニメ
- 更衣の時の姿勢や順番
- 教室の掃除用具入れが好き
- 偏食(一品喰いをしたり、食べなかったり)
- 動画の特定の部分を延々と繰り返す
- 登下校の道は少しも変えない
- 記憶が写真として残っている
特定のこだわりをもっているようであれば、可能性があるかも?と考えるのもありです。
自閉スペクトラム症とこじつけるんじゃなくて、あくまで可能性があるかも?って思うくらいだね。
ひょっとしたら、その可能性のおかげで、特別な支援をしてもらえることで、学校での負荷が減るかもしれません。
感覚過敏または感覚鈍麻
意外と自閉スペクトラム症の判断材料になるのがこの特徴です。
- 大きな音が苦手
- 特定の音が苦手
- 急な音でパニックになる
- 物に触るとき、指先・足先しか使わない
- 特定の触り心地が苦手
- 意図しないものが触れたら過剰に反応する
- 特定のニオイが苦手
- タバコ、香水などの強いニオイで気分が悪くなる
- 偏食がある
- 特定の食感、味が苦手
感覚鈍麻
- 痛みに鈍感
- 声かけに反応しない
- 暑さ寒さが気にならない
物事に過剰に反応するor反応しないと両極端です。
特別支援学校でも過敏な児童生徒は多いから、個別の支援をしたりしているよ。
それぞれの過敏、鈍麻と人それぞれ若干違いはありますが、大まかに言えばこんな感じです。
特に、感覚過敏については、嫌な表情をするので分かりやすいです。
支援の方法を9つ紹介
自閉スペクトラム症のことは大体分かってきたけど、どうやって関わっていけばいいの?
一番知りたい部分はここだと思います。
ここからは、先ほど紹介した例をもとに、支援の方法を記していきます。
あくまで一例だけど、参考になればいいな!
行動に対する支援方法
コミュニケーションが苦手
自閉スペクトラム症の児童生徒は、、相手の言っていることがよく分からないことや、自分の気持ちや望んでいることを他の人にうまく伝えられないことが多いです。
また、非言語的なコミュニケーションも困難です。
これにより、孤立感や強い不安に繋がり、他害や自傷行為がでることもあります。
・ロールプレイで関わりの機会を増やす
・言葉や具体物を用いる
・会話の成功体験を増やす
コミュニケーションが苦手な原因としては、相手の表情や気持ち、物がどんなものかが分からないということです。
なので話す時には、具体的な言葉(例:あれ取ってきて→教室の左にある黒板消し取ってきて)を使うことを意識しましょう。
機会があれば、ロールプレイで友達との会話中に、顔の表情のイラストを用いて「今はどんな気持ちで話している」ということを盛り込むのも良いでしょう。
相手側も、自閉スペクトラム症の友達と話す時には、「こうやって話せばいいんだ」という相互理解にも繋がります。
集団で活動が難しい
集団で活動することが難しい児童生徒は、「自分の世界をもっていて集団で活動しなくても良い」「なかなか自分から集団の輪に入れない」ということがあります。
1人でずっといる子は気になるな…
・グループワークを盛り込む
・ロールプレイで関わりの機会を増やす
休み時間や休憩時間に、集団で活動することを強要してしまうと、学校自体が窮屈になってしまうので、授業で上記のことを盛り込んでみましょう。
グループワークでは、その子と関わりある子をグループに入れて、友達同士の関わりを増やしてあげましょう。
テーマをその子の好きなものに関連することを入れてもいいね。
ロールプレイでは、役割を簡易的に決めて、楽しめるものを設定できると良いです。
集団で活動する機会を増やすことの他にも、自閉スペクトラム症の児童生徒の特徴を理解して関わってもらう機会にも繋がります。
友達同士で協力して何かをやるって大切なんだね。
課題は簡単な物を設定したり、見通しがもてるように指示などを書いて提示したりし、児童生徒が関わる際の障壁にならないものにすることが大切です。
急に立ち上がる、うろうろする
突発的に立ち上がったり、うろうろしたり、座り続けることが難しい児童生徒もいますよね。
どうやったらずっと座り続けられるんだろ?と思うこともあるかもしれません。
・定期的に立っても良い環境づくり
・授業の見通しがもてるようにする
・休み時間などに発散できるようにする
でも、ずっと座り続けるなんて不可能なんです。
もし自分が職員会議や学年会に参加した時、延々と話が長引いたら辛いですよね?伸びしたくなりますよね?
ひょっとしたら児童生徒も同じことを思っているかもしれません。
伸びをする行為が、立ち上がったりうろうろしたりする行動かもしれないね。
その児童生徒は、見通しがもてなくて、限界で離席しているかもしれません。
そんな時には、タイマーを使ったり、授業開始前に活動の予定を提示することも大切です。
1コマ座り続けることが難しい場合は、時間を決めて離席OKにするのもアリです。
クラスメイトの理解も大事だね。
また、自分のエネルギーを発散したくて離席するケースもあります。
そのような時には、休み時間にエネルギーを発散できるようなものや場面を設定してあげられると、離席がなくなることもあるかもしれません。
スケジュール管理が難しい
自閉スペクトラム症の児童生徒は、スケジュール管理が困難だったり、突発的な変更に弱い傾向があります。
・スケジュールボードの提示
・タイマーの設置
急な予定変更があった場合、口頭で伝えても理解していないことがあり、実際にその場面で予定の変更を知ると、パニックになることがあります。
また、熱中していると周りが見えなくなり、休み時間後の教室移動ができなかった、ということもあります。
他クラスの子で廊下を彷徨ってるって子いるよね。
このようなことを防ぐために、個別のスケジュールボードを作成したり、タイマーを設置したりすると良いです。
机上や机のフックにかけられるようにすると良いね。
予定が変更になった時には、予定を書き直したり、新しい予定表を配ったりすると、見通しがもてるようになります。
また、タイマーをその都度使って次の予定を意識できるようにすることも大切です。
急な変更でパニックになる
予定変更をすることで、自閉スペクトラム症の児童生徒は、パニックになることがあります。
これは、自分が考えていた先の見通しが崩れてしまうからです。
現実を受け入れられずに、不安やイライラにつながってしまいます。
・変更を直前ではなく事前に伝える
・スケジュールボードを活用する
・見通しを細かく伝えておく
・予定が変更になる「可能性」も伝えておく
基本的には、見通しがもてる環境を設定することが大切です。
しかし、予定の変更はつきもの。
行事の天候による延期や、授業の進捗で教科の変更はよくあることです。
避難訓練とかもそうだね。
予定の変更は、可能な限り「直前」ではなく「事前」に伝えておきましょう。
そうすることで、再度その日の予定を組み立てる時間ができるからです。
また、予定が変更になった時には、その予定がどのようになるか具体的に伝えることも大切です。
一度崩れた見通しを何回も組み立てることはとてもストレスで、パニックを発生させやすくなります。
大人でもリスケが多かったらイライラするもんね。
他にも「予定が変更になることもある」というジャブを入れておくことも大切です。
予定の変更はつきもの。
むしろ完全に予定通りにいくことの方が少ないです。
なので、予定が変更になる可能性がある場合には、事前に伝えておくと、大きなストレスが小さくなることもあります。
特定のものへのこだわりが強い
誰しも、度合いにもよりますが、好きなものがあると思います。
それを自身で楽しむ、ストレス解消に使用することはよくあることです。
強いこだわりを示す児童生徒も同様で、自分の中で消化できれば良いのです。
地図を見たり電車を調べたり、好きなことがあるのはいいことだよね。
しかし、これが原因で約束の時間に間に合わない、他害が発生するなどということが起こってしまってはいけません。
・時間に見通しがもてるようにする
・スケジュールの合間に提示する
・条件を提示する
・対象物から意図的に離す
こだわりが強い物については、急に取り上げたり、否定語を使用することは御法度です。
パニックになって収拾がつかなくなることがあるよ。
その物を使える時間をあらかじめ決めたり、タイマーを使ったりすると良いです。
また、「〇〇ができたら◯分やってもいいよ」など、条件を提示すると、見通しがもてます。
急に離席する子や活動に集中できない子にも有効だね。
最後にある「対象物から意図的に離す」に関しては、特定のものが「人」であった場合です。
特定の人へのこだわりがある場合は、席が近いとその子に対して触れようとしたり危害を加えたりすることがあります。
自閉症の子で特定の子にこだわりがあった時は、その子に対して物を投げたり服を掴んだりしていたなぁ。
席が近いと視界に入ってしまい意識してしまうので、意図的に席を離したり、場合のよっては年度替わりにクラス替えも検討した方が良いですね。
場にそぐわない行動や発言をする
いわゆる「空気が読めない」ことですね。
このようなことをする場合、相手の立場に立てていないことがあります。
・相手の立場を考えられるようにする
・会話のパターンを提示する
・わざと行動に反応しない
・良かった行動は称賛する
相手の立場に立てるように工夫してあげる必要があります。
自閉スペクトラム症の児童生徒は、自分の気持ち優位で行動、発言してしまいがちです。
相手が悲しい気持ちでも、自分に嬉しいことがあったら喜んでしまったり、周囲が静かでも、自分が興奮していたら立ち上がって大声を出したりしてしまうんです。
そういうことってありがちなんだね…
子供の冷静な時に、相手の立場を考える機会を設けると良いです。
その際、間違ってしまったら冷静に繰り返し教えてあげることも大切です。
こちらの感情に流されて、間違った感情が伝わるかもしれないからね。
他にも、間違った行動や発言があった際には、反応しない・淡々と対応することも良いです。
「相手が反応してくれる=嬉しい」と間違った行動を増幅させてしまうからです。
反対に、良かった行動や発言は褒めてあげましょう。
これを繰り返すことで、完全に無くなることはありませんが、その行動が減ることがあります。
触覚過敏で教材に触れられない
例えば制作がある図工や技術・家庭は、さまざまなものを制作すると思います。
時には理科の実験なんかでもありますが、「制作、実験に消極的」と見られる児童生徒も、ひょっとしたら感覚過敏かもしれません
特定のニオイが苦手
繊維のチクチクが苦手
粘土が苦手
実験の音が苦手
こんなことが挙げられるね。
・過敏な物を把握する(音、ニオイ、触り心地など)
・代用できる教材があるか探す
・無理に参加しなくても良い
まずは過敏な物を把握してあげましょう。
嫌な物であれば、表情や態度に出ます。
その子の様子をしっかり見ておくんだね。
制作活動なんかは、成績にそのまま反映されることが多いと思います。
なので、複数の制作物の中から選べる場合は、選択式にするようにしましょう。
また、実験や活動に無理に参加しなくても良い環境づくりも大切です。
一般の人には普通のニオイや触り心地でも、過敏な児童生徒にとってはこんな感じみたいです。
・嫌な触感→汚物を触る、刺さるような刺激
・大きな音→黒板を引っ掻く音のように嫌な音
・強い香り→頭痛がするくらい気持ち悪い香り
過敏の児童生徒に無理やり活動をやらせようとしたら、これを強要していることになっちゃいます。
活動に参加することは大切ですが、代替できるものを考えてあげると良いです。
急な音や触れられることにびっくりする
パンっと大きな音を出す、後ろから肩をポンと叩く、なんかが苦手なこともあります。
これは、本人が気づいていない時ありがちです。
急に触られるとびっくりするもんね。
・これから起こることを知らせる
・見通しがもてるようにする
・触れる、大きな音が出る環境を減らす
例えば、後ろから急に声をかけるのではなく、正面に行って声をかけたり視界に入る場面をつくりましょう。
また、急に破裂音や叫び声があると過剰にびっくり・パニックになる場合は、イヤーマフや耳栓などをオススメすることもありかもしれません。
特別支援学校ではイヤーマフをつけてる人はいるよね。
自閉症の児童生徒で、このようなイヤーマフをつけていることはあります。
もし、イヤーマフが嫌という人であれば、耳栓なんかも効果的です。
まとめ
本記事では、【自閉スペクトラム症】についての特徴や支援方法について紹介しました。
参考になるものはあったかな?
冒頭にも書いていますが、本記事が全ての自閉スペクトラム症の児童生徒に当てはまることはありません。
あくまで参考として読んでいただければと思います。
「本に書いてあったから」とそのまま指導に使ってることあるよね。
勉強はとっても大切だよ。
でもそれをどう使うかで、教師の技量が試されるかな。
児童生徒には個性があり、全く同じ人はいません。
完全に枠に当てはめようとすると、児童生徒にとってストレスになってしまいます。
また、教師側もそれを無理やりやろうとしてストレスを感じで負のスパイラルに…
なんてこともありますよね。
それで体罰を起こしちゃうと意味がないもんね。
特に自閉スペクトラム症の児童生徒は、ルールをがんじがらめにされることを苦手とします。
本記事を参考にしつつ、柔軟な気持ちや姿勢で、児童生徒と関わってもらえると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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